February 21st, - 27th, 2010 Vol.17 No.8

誇る者は主を誇れ 2コリント10章、歴代誌上16:8-13マタイ26:41

 

A パウロの誇り

1) 神に従って歩んでいる (1-3)

さて、あなたがたの間で面と向かっては弱腰だが、離れていると強硬な態度に出る、と思われている、このわたしパウロが、キリストの優しさと心の広さとをもって、あなたがたに願います。(1) わたしたちのことを肉に従って歩んでいると見なしている者たちに対しては、勇敢に立ち向かうつもりです。わたしがそちらに行くときには、そんな強硬な態度をとらずに済むようにと願っています。(2) わたしたちは肉において歩んでいますが、肉に従って戦うのではありません。(3)

この部分の日本語では「肉」と訳されている言葉はNIVでは「World」です。日本語の肉 (flesh)よりもわかりやすいですね、しかし原語は普通、肉と訳される言葉を使っています。NIVが間違っているわけではありません。肉というのは特に人間の体を意味する言葉であり、肉体を持つことの弱さを持った人間の集合という意味でWorldと言っているのです。つまりパウロは、「霊的ではなく物質的な考えをもつ人」「神の国ではなくこの世を大事にしている人」と非難されていたということです。パウロにしてみれば、自分の生き方とは全く反対な者と宣伝されていることに憤りを覚えるのも無理はありません。しかし、「私たちは肉において(この世で)生きている」と書いてあるようにパウロは自分の弱さ、限界というものがあることを知っていました。パウロの自信は自分の知識や家柄から来るのではなく、イエス様に従っていることから来るものなのです。自分との戦いに、悪に対する戦いに、問題や困難に立ち向かうのに、人間の意志や力ではなく、イエスキリストに従うことで勝利を確かなものにできる、ということを知っているのはなんと幸いなことでしょう。

 

2) 造り上げるための権威を与えられている (4-8)

わたしたちの戦いの武器は肉のものではなく、神に由来する力であって要塞も破壊するに足ります。わたしたちは理屈を打ち破り、(4) 神の知識に逆らうあらゆる高慢を打ち倒し、あらゆる思惑をとりこにしてキリストに従わせ、(5) また、あなたがたの従順が完全なものになるとき、すべての不従順を罰する用意ができています。(6) あなたがたは、うわべのことだけ見ています。自分がキリストのものだと信じきっている人がいれば、その人は、自分と同じくわたしたちもキリストのものであることを、もう一度考えてみるがよい。(7) あなたがたを打ち倒すためではなく、造り上げるために主がわたしたちに授けてくださった権威について、わたしがいささか誇りすぎたとしても、恥にはならないでしょう。(8)

クリスチャンは、直面する問題、困難に対して他の人々が持っていない武器を持っています。神様の力です。神様を信じられない人は、もちろん神様から提供されるこの最強の武器を使うことはできません。ここにパウロの自信の根拠があります。パウロはコリントの教会を打ち倒すためではなく、神の国の一部として造り上げるといっています。それはイエス様がこの世に遣わされた目的と同じです。私たちもまた、この世界と敵対して打ち壊すために遣わされているのではありません。そうではなく人々を罪の世から、神様の元へと救い出すために遣わされているのです。パウロが与えられている同じ権威があなたに与えられています。ただ恵みによって与えられているのですから、それが自分に与えられているということを誇ることはできません。しかし与えて下さる神様を誇りましょう。あなたに神様に与えられている権威がどれほど大きく、力強いものであるかを安く見積もってはいけません。

 

Bプライドをコントロールする

1) 健康なプライドと病的なプライド (9-14)

わたしは手紙であなたがたを脅していると思われたくない。(9) わたしのことを、「手紙は重々しく力強いが、実際に会ってみると弱々しい人で、話もつまらない」と言う者たちがいるからです。(10) そのような者は心得ておくがよい。離れていて手紙で書くわたしたちと、その場に居合わせてふるまうわたしたちとに変わりはありません。(11) わたしたちは、自己推薦する者たちと自分を同列に置いたり、比較したりしようなどとは思いません。彼らは仲間どうしで評価し合い、比較し合っていますが、愚かなことです。(12) わたしたちは限度を超えては誇らず、神が割り当ててくださった範囲内で誇る、つまり、あなたがたのところまで行ったということで誇るのです。(13) わたしたちは、あなたがたのところまでは行かなかったかのように、限度を超えようとしているのではありません。実際、わたしたちはキリストの福音を携えてだれよりも先にあなたがたのもとを訪れたのです。(14)

パウロは本当にいろいろな悪口を言われていた人のようです。謙遜に振舞えば弱々しいといわれ、はっきりした口調で手紙を書けば傲慢だといわれ、忍耐していれば臆病だといわれたのです。しかしパウロはこのような挑発には乗りませんでした。人間同士の評価、比較には意味が無いことを知っていました。人と張り合うためのプライドはそれが信仰に関わることであっても不健康なプライドです。だからパウロはこれを注意深く避けています。パウロとは対照的に、彼を攻撃する者たちはこの病的なプライドに支配され、神様の目的のために仕えるのではなく自分の目的のために神様の名を利用する者となってしまっていたのです。  パウロは健康なプライドを持っていました。それは委ねられた仕事に対する責任感を支えるプライドです。パウロにはコリントの教会を間違った教えをする人々から守る責任がありました。パウロが異邦人のための使徒として遣わされ建て上げた教会だからです。神様の働きによって建てられた教会が破壊され、解放された人々が再び罪の中に引きずり込まれてゆくことを阻止しなければなりませんでした。

 

2) 主を誇りに生きよう (15-18、歴代誌上16:8-13、マタイ26:41)

わたしたちは、他人の労苦の結果を限度を超えて誇るようなことはしません。ただ、わたしたちが希望しているのは、あなたがたの信仰が成長し、あなたがたの間でわたしたちの働きが定められた範囲内でますます増大すること、(15) あなたがたを越えた他の地域にまで福音が告げ知らされるようになること、わたしたちが他の人々の領域で成し遂げられた活動を誇らないことです。(16) 「誇る者は主を誇れ。」(17) 自己推薦する者ではなく、主から推薦される人こそ、適格者として受け入れられるのです。(18)

牧師、リーダーがいつの間にか病的なプライドに支配され、教会がカルト化してしまうということが現実に起こります。それはキリストの体の健康な細胞が悪いものに変化してしまうということです。それはキリストの教会がキリストの名を汚してしまうという恐ろしいことです。残念なことに、ここ数年日本の教会で立て続けに起こり一般にも報道されました。どうしたら私たちは、健康なプライドを持った健康な教会でいることができるでしょうか?イエス様ご自身がこのように警告しておられます。

誘惑に陥らぬよう、目を覚まして祈っていなさい。心は燃えても、肉体は弱い。」(マタイ26:41)

第一に、イエス様が教えられたように自分たちが誘惑に弱いということを自覚して、守られるよう祈り続けることです。そして今読んだパウロの手紙にあるように、ユアチャーチに与えられている責任をはっきりと知り、行うことです。他の教会を目標にする必要もなければ、他の教会を非難する権利も私たちにはありません。地上のあらゆる教派の一つ一つの教会は、神の国の完成に向かって前進するという大きな目的では一致していますが、与えられている仕事、責任が違うのです。同じようにこの一つの教会の中でも、一人一人が神様から異なった責任を与えられていることを知りましょう。そうすれば人との比較で自分を誇ったり、卑下したりする必要はなくなります。その出発点が、礼拝と賛美です。みんなで主に向かい顔を上げることです。

主に感謝をささげて御名を呼べ。諸国の民に御業を示せ。 主に向かって歌い、ほめ歌をうたい、驚くべき御業をことごとく歌え。 聖なる御名を誇りとせよ。主を求める人よ、心に喜びを抱き、主を、主の御力を尋ね求め、常に御顔を求めよ。 主の成し遂げられた驚くべき御業と奇跡を主の口から出る裁きを心に留めよ。 主の僕イスラエルの子孫よ、ヤコブの子ら、主に選ばれた人々よ。(歴代誌上16:8-13) メッセージのポイント クリスチャンとそうでない人の違いの一つは、イエスキリストに従って歩んでいるのか、それ以外のものに従って歩いているかという点にあります。神様は主イエスに従う者に偉大な力を与えられています。だから、私たちは持ち物や能力や地位といった虚しいものを誇る必要がないのです。私たちの誇りは私たちを罪から救い出してくださった神様と、神様が私たちを通して現して下さる愛だけなのです。 話し合いのヒント 1) 健康なプライドとはどのようなものですか? 2) パウロは自分に与えられていた権威をどう理解していましたか?

 

メッセージのポイント
クリスチャンとそうでない人の違いの一つは、イエスキリストに従って歩んでいるのか、それ以外のものに従って歩いているかという点にあります。神様は主イエスに従う者に偉大な力を与えられています。だから、私たちは持ち物や能力や地位といった虚しいものを誇る必要がないのです。私たちの誇りは私たちを罪から救い出してくださった神様と、神様が私たちを通して現して下さる愛だけなのです。

話し合いのヒント
1) 健康なプライドとはどのようなものですか?
2) パウロは自分に与えられていた権威をどう理解していましたか?