<メッセージノート>
洗礼者ヨハネ誕生の予告
A 祭司の家系に生まれた預言者(5-7)
5 ユダヤの王ヘロデの時代、アビヤ組の祭司にザカリアという人がいた。その妻はアロン家の娘の一人で、名をエリサベトといった。
6 二人とも神の前に正しい人で、主の掟と定めをすべて守り、非のうちどころがなかった。
7 しかし、エリサベトは不妊の女だったので、彼らには、子供がなく、二人とも既に年をとっていた。
1) 神の前に誠実な夫婦 (5, 6)
2) 子供のいない寂しさを持つ夫婦 (7)
B. ヨハネは (8-17)
1) その誕生を預言されていた (8-14)
8 さて、ザカリアは自分の組が当番で、神の御前で祭司の務めをしていたとき、
9 祭司職のしきたりによってくじを引いたところ、主の聖所に入って香をたくことになった。
10 香をたいている間、大勢の民衆が皆外で祈っていた。
11 すると、主の天使が現れ、香壇の右に立った。
12 ザカリアはそれを見て不安になり、恐怖の念に襲われた。
13 天使は言った。「恐れることはない。ザカリア、あなたの願いは聞き入れられた。あなたの妻エリサベトは男の子を産む。その子をヨハネと名付けなさい。
14 その子はあなたにとって喜びとなり、楽しみとなる。多くの人もその誕生を喜ぶ。
2) 主に先立って道を備える (15-17)
15 彼は主の御前に偉大な人になり、ぶどう酒や強い酒を飲まず、既に母の胎にいるときから聖霊に満たされていて、
16 イスラエルの多くの子らをその神である主のもとに立ち帰らせる。
17 彼はエリヤの霊と力で主に先立って行き、父の心を子に向けさせ、逆らう者に正しい人の分別を持たせて、準備のできた民を主のために用意する。」
C. 私たちの (18-25)
18 そこで、ザカリアは天使に言った。「何によって、わたしはそれを知ることができるのでしょうか。わたしは老人ですし、妻も年をとっています。」
19 天使は答えた。「わたしはガブリエル、神の前に立つ者。あなたに話しかけて、この喜ばしい知らせを伝えるために遣わされたのである。
20 あなたは口が利けなくなり、この事の起こる日まで話すことができなくなる。時が来れば実現するわたしの言葉を信じなかったからである。」
21 民衆はザカリアを待っていた。そして、彼が聖所で手間取るのを、不思議に思っていた。
22 ザカリアはやっと出て来たけれども、話すことができなかった。そこで、人々は彼が聖所で幻を見たのだと悟った。ザカリアは身振りで示すだけで、口が利けないままだった。
23 やがて、務めの期間が終わって自分の家に帰った。
24 その後、妻エリサベトは身ごもって、五か月の間身を隠していた。そして、こう言った。
25 「主は今こそ、こうして、わたしに目を留め、人々の間からわたしの恥を取り去ってくださいました。」
1) 不安、不信
2) 絶望を希望に変える鍵を持つ方 (20-24)
メッセージのポイント
イエスに先立って登場したバプテスマのヨハネは道を整える者として神様に遣わされた人です。私たちはイエスの時代より後に生まれましたが、まだイエスを知らない人に対しては、ヨハネのように「道を整える者」です。
話し合いのために
1) バプテスマのヨハネは何のために神様に遣わされたのでしょうか?
2) なぜザカリアは口がきけなくなったのですか?
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<メッセージ全文>
洗礼者ヨハネ誕生の予告
今日から待降節(アドヴェント)が始まりました。クリスマスを待ち望む一ヶ月です。3週にわたって福音書に記録されているクリスマス直前の出来事を紹介し、私たちの心が救い主の誕生にふさわしい期待で満ち溢れるように準備してゆきたいと思います。
A 祭司の家系に生まれた預言者(5-7)
旧約聖書の預言者マラキがバプテスマのヨハネの誕生を預言していたことをお話ししました。その中に、神様の意思に背き不法が行われていた社会にあっても、神様の意思に従いたいと願う少数の人々がおり、そのような人々に神様は耳を傾けてくださることをお話ししました。 バプテスマのヨハネの両親もそのような人々でした。5−7節を読みましょう。
5 ユダヤの王ヘロデの時代、アビヤ組の祭司にザカリアという人がいた。その妻はアロン家の娘の一人で、名をエリサベトといった。
6 二人とも神の前に正しい人で、主の掟と定めをすべて守り、非のうちどころがなかった。
7 しかし、エリサベトは不妊の女だったので、彼らには、子供がなく、二人とも既に年をとっていた。
1) 神の前に誠実な夫婦 (5, 6)
父親は祭司でザカリアという人です。 夫婦ともに遡ればモーセの兄弟アロンの子孫で祭司の中でも名門の家系に属する夫婦でした。家柄だけではなく、二人とも「神の前に正しい人で、主の掟と定めをすべて守り、非のうちどころがなかった」(6)のです。まさに、マラキの預言にあったごく少数の神様の側にいた人たちだったのです。
2) 子供のいない寂しさを持つ夫婦 (7)
ところが彼らには子供がいませんでした。彼らの文化の中では、子供がいないことは、寂しいということだけではなく、恥とされていたのです。それは子供がいないということは何か神様との間で問題があり、呪いとしてそうされたと考えられていたからです。もちろんそのような問題が彼らになかったことは6節にあるように明らかです。どんなに正しく歩んでいても、その社会の常識やそれによる人々の偏見の目を気にしないで生きることは難しいのです。家族に犯罪者が出たり、自死した人がいたり、離婚したりすれば、世間は、その人の内面とは関係なしに裁きます。宗教は社会の規範のひとつと考えられているので、普通の人々よりももっと厳しい目で、そのような立場に置かれた人を見てしまいがちです。ザカリアもエリザベトも、そのような目で人々に見られていたのです。しかし神様の見方が、人の見方とは異なることは6節で確認しました。イエスは目の見えない人について人々が「この人の目が悪いのは、この人の罪のせいですか、それともこの人の親の罪のせいですかと尋ねたとき、どう答えたでしょうか?イエスは「本人が罪を犯したのでもなく、また、その両親が犯したのでもない。ただ神のみわざが、彼の上に現れるため」 (ヨハネ9:2,3)と答えました。イエスは私たちにもそのように言ってくださる方としてきてくださいました。私たちが問われているのはイエスへの信頼、服従だけです。私たちにとってそれ以外の、人の目による偏見を恐れる必要はありません。人の目から見れば不幸と思われるような状態さえ、神様を心から呼び求める者には神のみわざがおこります。期待しましょう。
B. ヨハネは (8-17)
1) その誕生を預言されていた (8-14)
8 さて、ザカリアは自分の組が当番で、神の御前で祭司の務めをしていたとき、
9 祭司職のしきたりによってくじを引いたところ、主の聖所に入って香をたくことになった。
10 香をたいている間、大勢の民衆が皆外で祈っていた。
11 すると、主の天使が現れ、香壇の右に立った。
12 ザカリアはそれを見て不安になり、恐怖の念に襲われた。
13 天使は言った。「恐れることはない。ザカリア、あなたの願いは聞き入れられた。あなたの妻エリサベトは男の子を産む。その子をヨハネと名付けなさい。
14 その子はあなたにとって喜びとなり、楽しみとなる。多くの人もその誕生を喜ぶ。
その預言では、その子供の名前までもが指定されていました。これは出来事がかなり特別なことであることを表しています。この時代には祭司は多くいて、「主の聖所に入って香をたく」という役割はくじ引きで決められましたが、生涯一度も経験することのない祭司も多くいたのです。また一度くじが当たれば、もうくじを引く権利もありませんでした。つまり、祭司の生涯でたった一度しか行うことのできない務めの時にこの出来事が起こったということです。彼らの家系にはヨハネという名の人はいませんでした。普通は父の名を受け継ぐか、少なくともその家系にちなんだ名前をつけるならわしとなっていました。しかし、ヨハネは神様に特別な任務を与えられて生まれたのです。それは、救い主イエスが世に来るための備えをする人物という役割です。
正しく生きてきたけれども、寂しい思いを心にとどめ、「あの夫婦は神様の前に誠実そうにしているけれども、子供が与えられないからには問題のある人たちなのだろう」と言われてきた夫婦に、神のみわざが現れたのです。正しい人たちは神様のみわざによってむくわれました。「その子はあなたにとって喜びとなり、楽しみとなる。多くの人もその誕生を喜ぶ。」と14節にある通りです。
2) 主に先立って道を備える (15-17)
15 彼は主の御前に偉大な人になり、ぶどう酒や強い酒を飲まず、既に母の胎にいるときから聖霊に満たされていて、
16 イスラエルの多くの子らをその神である主のもとに立ち帰らせる。
17 彼はエリヤの霊と力で主に先立って行き、父の心を子に向けさせ、逆らう者に正しい人の分別を持たせて、準備のできた民を主のために用意する。」
先週からお話ししている「主に先立って道を備える」という役割です。ヨハネはこの重要な役割を果たすために、母の胎内にいる時から聖霊に満たされ、生まれてからも特別な賜物を与えられて、祭司ではなく預言者として用いられました。だから名前も特別なものが当てられたのです。ヨハネという名は、「ヤハウェ(神様)はいつくしみ深い」という意味の言葉です。ヨハネはより多くの人が神様のいつくしみに預かれるように厳しく悔い改めを迫ったのです。
C. 私たちの (18-25)
18 そこで、ザカリアは天使に言った。「何によって、わたしはそれを知ることができるのでしょうか。わたしは老人ですし、妻も年をとっています。」
19 天使は答えた。「わたしはガブリエル、神の前に立つ者。あなたに話しかけて、この喜ばしい知らせを伝えるために遣わされたのである。
20 あなたは口が利けなくなり、この事の起こる日まで話すことができなくなる。時が来れば実現するわたしの言葉を信じなかったからである。」
21 民衆はザカリアを待っていた。そして、彼が聖所で手間取るのを、不思議に思っていた。
22 ザカリアはやっと出て来たけれども、話すことができなかった。そこで、人々は彼が聖所で幻を見たのだと悟った。ザカリアは身振りで示すだけで、口が利けないままだった。
23 やがて、務めの期間が終わって自分の家に帰った。
24 その後、妻エリサベトは身ごもって、五か月の間身を隠していた。そして、こう言った。
25 「主は今こそ、こうして、わたしに目を留め、人々の間からわたしの恥を取り去ってくださいました。」
1) 不安、不信
私たち自身のことを考えるなら、ザカリアが天使の言葉を疑うのも無理はありません。アブラハムとサラの場合を思い出しますね。私たちが覚えるべきことは「神様に不可能なことは何一つない」ということです。それは私たちの思い通りにとか、私たちの願うスケジュールでということでは全くありません。けれども、どんな境遇に置かれても主を信じ従って行く人に、主はいつくしみ深い方なのです。ザカリアとエリザベトはその人生の最後の章で初めて「主は今こそ、こうして、わたしに目を留め、人々の間からわたしの恥を取り去ってくださいました。」ということができました。ここにいる皆さんは、その同じ主に見つけ出されて愛されていることを知っています。だから神様を礼拝しているのでしょう。不安、不信の原因はまた私たちを襲うでしょう。一人では心細いでしょう。だからここにキリストの体として支え合う人々がいるのです。イエスがこられたのは、自分の都合、欲望でバラバラだった私たちを、自らを頭とするひとつの体として組み合わせるためでもあったのです。
2) 絶望を希望に変える鍵を持つ方 (20-24)
しかし私たちを組み合わせたのは、私たちが支えられたり、守られたりするためだけではありません。イエスがこられたのは、この体を用いて、ご自身の意思を行う、神の国を実現するためでもあります。それが神様の最終目標なのです。人間はもちろん、神様が作られたすべてのものの幸福、平和が取り戻される状態、それが神の国です。イエスの思い、イエスの言葉に従うことがその状態につながることを私たちは知っています。だからイエスを紹介し続けるのです。先週も最後に触れましたが、私たちはイエスの時代より後に生まれましたが、まだイエスを知らない人に対しては、ヨハネのように「道を整える者」なのです。イエスに従って歩んでいる、あなたの愛、あなたの言葉を通して、一人でも多くの人が、2000年前のクリスマスに生まれた救い主イエスに出会い、彼に従う人となれるように祈りながら今年のクリスマスを待ち望みましょう。
メッセージのポイント
イエスに先立って登場したバプテスマのヨハネは道を整える者として神様に遣わされた人です。私たちはイエスの時代より後に生まれましたが、まだイエスを知らない人に対しては、ヨハネのように「道を整える者」です。
話し合いのために
1) バプテスマのヨハネは何のために神様に遣わされたのでしょうか?
2) なぜザカリアは口がきけなくなったのですか?