2004/2/15  

奇跡の起こしかた マタイ15:29-39
How to Make a Miracle 


イエスはそこを去って、ガリラヤ湖のほとりに行かれた。そして、山に登って座っておられた。 大勢の群衆が、足の不自由な人、目の見えない人、体の不自由な人、口の利けない人、その他多くの病人を連れて来て、イエスの足もとに横たえたので、イエスはこれらの人々をいやされた。(29-30)

群衆は、口の利けない人が話すようになり、体の不自由な人が治り、足の不自由な人が歩き、目の見えない人が見えるようになったのを見て驚き、イスラエルの神を賛美した。(31)

イエスは弟子たちを呼び寄せて言われた。「群衆がかわいそうだ。もう三日もわたしと一緒にいるのに、食べ物がない。空腹のままで解散させたくはない。途中で疲れきってしまうかもしれない。」(32)

弟子たちは言った。「この人里離れた所で、これほど大勢の人に十分食べさせるほどのパンが、どこから手に入るでしょうか。」イエスが「パンは幾つあるか」と言われると、弟子たちは、「七つあります。それに、小さい魚が少しばかり」と答えた。(33-34)

そこで、イエスは地面に座るように群衆に命じ、七つのパンと魚を取り、感謝の祈りを唱えてこれを裂き、弟子たちにお渡しになった。弟子たちは群衆に配った。 人々は皆、食べて満腹した。残ったパンの屑を集めると、七つの籠いっぱいになった。(35-37)

食べた人は、女と子供を別にして、男が四千人であった。イエスは群衆を解散させ、舟に乗ってマガダン地方に行かれた。(38-39)


今朝のテキストは異邦人が経験したイエス様による癒しと奇蹟が記されています。皆さんはイエス様の奇蹟について考えるときに、それが私達にどう関係するのだろうかと疑問がわきませんか?牧師は「イエス様は今も生きて働いておられます」と教えますが、身近でこのような奇蹟に出会った人はいないでしょう。また癒しについても、体験はあるにしても今日のテキストのような目覚しい大規模な癒しの現場にいたことのある人は少ないと思います。そしてイエス様が奇蹟や癒しを実際になさったと信じ「イエス様は今も生きて働いておられます」と教えるキリスト教会の中でも、意見は分かれています(実は癒し・奇蹟どころかイエス様が神様であること、十字架のあがない、も認めないけれどキリスト教会と自称しているグループもありますから注意が必要です)。<イエス様は今も生きて働いておられる>と教える教会は二つの極端な考え方の間のどこかに位置しています。ひとつは奇蹟や癒しなどは、今の時代には必要ない、求めてもいけない、という極端です。もう一方の極端は、奇蹟や癒しを求めることが信仰の中心であるかのようにそれらを求め、医療を軽視するような考え方です。



A.癒しと奇蹟の原則 Principles of Healing and Miracle

1) 時代・文化を超えて起こり得る

The healing and miracles of Jesus can happen across time and culture

癒しと奇蹟に関する私の見解はこうです。「癒しも奇蹟も今でもある」。しかしそれはイエス様の時代のように教会が、イエス様がなさったような超自然的な癒しや奇蹟をどんどん行う。という事ではありません。私たちは10年の歩みの中で何度も、医者が首をかしげるような信仰による癒しを経験私的なしたから、私は皆さんの癒しの願いがあれば、いつでも喜んで癒しのために祈ります。でもそれは牧師にだけ許された特権ではありません。ここにいる誰でもが癒しのために手を置いて祈ることができます。そして皆さんを通して神様が癒しをなさるのです。

2) 神の主権 The sovereignty of God

「神の主権」、このことを第二に紹介するのですが、お話の流れでそうしたのであって、重要さから言えばこのことこそ第一の原則です。誰を通して目覚しい癒しの働きがおこるとしても、それはその人の力ではありません。ここを間違えると、教会も、神様ではなくその人をあがめるカルト集団になってしまいます。


3) 癒しや奇蹟は福音の中心ではなく、福音の中心「神様の愛」の表れ方のひとつ。

Healing and miracles are expressions of God's love, which is the heart of the Gospel

イエス様は、癒しや奇蹟を起こして人を助けることを教えるためにこられたのではありません。「愛」のあらわし方のひとつとしてなさったのです。福音の中心は十字架の上で完成された私たちに対する「神様の愛」以外の何物でもありません。私たちはいつでも奇蹟が起ることを期待していますが、奇蹟があっても愛に欠けた教会になるよりは、奇蹟が起らなくても愛のある教会になりたいと思います。




B. 現代における癒しと奇蹟 Healing and miracles in our time

1) 医療と癒し Medicine and healing

ある外科医は次のように言っていたそうです。「私はクリスチャンではありませんが、手術をする前には必ず聖書の癒しの記事を読んで手術に臨みます、そうすると目には見えない手が私の手を取っていてくれるように思え、落ち着いて手術をすることができるのです。」医療技術がこれほどまでに発展してきたことも神様の恵みです。教会も病院を作ったり、医療宣教師を医療の遅れている地域や国に遣したりして、医療に貢献してきました。今までは手の施しようがなかった病気や事故による患者が、治療によって助かることは、元を考えれば医師を通して行われる神様の癒しなのです。医師や薬の手を借りることを不信仰だと考えるのは間違っています。超自然的な癒しと医療は対立するものではありません。私たちが誰かの病気からの回復を願うなら、手を置いて祈ることとともに正しい治療がなされることを配慮することも大切なのです。

2) あなたが起こせる奇蹟 Miracles you can make

イエス様は多くの人々を癒されてから今度は人々の空腹の問題に取り組まなければなりませんでした。皆さんにとっては考えにくいことですが、この世界には食事が出来ずに栄養失調になっている人々が大勢いるのです。北朝鮮だけではありません。この国にも毎日の食事にありつけない人もいるのです。そのような人々にイエス様はあのときのような奇蹟を起こしては下さらないのでしょうか?いいえ、イエス様はなさっています。たとえばここにいるマーティンを用いてです。マーティンはよく土曜日にこのような人々に食料を配るボランティアをしています。日本では作られた食品の多くが食べられないまま捨てられてゆくほど需要に対して生産が過剰です。これらのものは売り上げや利益を考えるなら、誰かにただであげるより捨ててしまったほうが有利なのです。飢えて死ぬ人がいるのに、食べられないほど生産して捨てる。イエス様はそのような仕組みを喜ばれません。

豊かな国にいるクリスチャンは、飢えている国、飢えている人に対して責任があります。惜しみなく与える人、惜しみなく働く人は、イエス様のあの奇蹟と同じ奇蹟を今の世の中で起こしているのです。

あなたも出来ることからはじめてみませんか?マタイによる福音書9章35節を開きましょう

イエスは町や村を残らず回って、会堂で教え、御国の福音を宣べ伝え、ありとあらゆる病気や患いをいやされた。 また、群衆が飼い主のいない羊のように弱り果て、打ちひしがれているのを見て、深く憐れまれた。 そこで、弟子たちに言われた。「収穫は多いが、働き手が少ない。 だから、収穫のために働き手を送ってくださるように、収穫の主に願いなさい。」マタイ9:35-38

私はまだ十分若いですが、いつまでもそうではありません。私は、この教会が神様の働きを担い続けてゆくために、様々な働き人が起こされることを祈っています。また自分で何でもしてしまうのではなく、私より若い人々が「出来るように」訓練することがこれからの私の責任だと感じています。ですから、どうか働き人のために祈ってください。特にこの教会を通して働く働き人が起こされるように、そして誰かが起こされることを願うだけでなく「私はここにいます。私を用いてください」と願ってください。


メッセージのポイント

聖書に忠実であるという事は、そこに書かれていることそのまま今も起きなければならないと信じることではありません。そこに示された愛に忠実である事です。神様が必要なら、どんなことでもして下さる、と信じる事は自分を通して奇蹟が起らなければならないと考えることとは違います。それは様々な方法で自分を用いて下さると確信していることなのです。そしてこれらの「忠実」と「確信」が奇蹟を起こすのです。

To be faithful to the Bible does not mean believing that all that is written in there must occur now just as they did in the text. It means being faithful to the love that is revealed in it. Believing that, if necessary, God will do anything for me is different from believing that miracles 'must' occur through me.This faithfulness means being confident that God will use me in a variety of ways. This faithfulness and confidence make miracles happen.


ミニチャーチのためのヒント

1) イエス様はなぜ癒やし・奇蹟をなさったのでしようか?
Why did Jesus perform healing and miracles?

2)今日、あなたはどのような癒やし・奇蹟を期待しますか?
What kind of healing and miracles do you expect today?